乗馬マシンでは痩せないってホント? 検証してみました。

乗馬マシンでは痩せないってホント? 検証してみました。

安価な乗馬マシンでは痩せない。

そもそも開発の目的が違う?

そもそも体幹部のストレッチが目的の乗馬マシン「ジョーバ」、その類似品である「ロデオボーイ」はダイエット器具であると言うが、その効果は?

大手電気メーカー製の乗馬型健康器具「ジョーバ」のフィットネス・エクササイズ効果が認められ、その便乗商品「ロデオボーイ」が大ヒットした要因は、誰もが、手軽に、乗ってるだけで、ウォーキングの2倍の運動量を体験できるという「宣伝文句」でした。

しかしこの「2倍の運動量」という表示が実はクセモノなのです。

運動量とは、すなわち物体が移動した量のことです。そして運動には大別して2種類あり、ウォーキングは自ら身体を移動させていますが、乗馬マシンに乗っている状態では、単に「動かされている」状態に過ぎず、同じ「運動」であっても両者は全く性質の異なる状態を表していて、比較する事もできないものなのです。

カロリー消費を目的とした比較であれば、運動量ではなく『運動強度(※)』が重要です。メーカーの公称値によれば、乗馬マシンの運動強度は3.2とあります。ウオーキングの運動強度は一般的に3.0~4.0ほどとされていますから、ほぼ変わらない状態と考えて良いでしょう。むしろ積極的に早足で行う競歩などよりは劣ることになります。

※運動強度:ただ座っている状態を「1」とした場合に、運動によって増加する代謝量の倍率を示したもの。

しかし、この運動強度の公称値についても、痩せるのか?という問題については疑問が残ります。それは、カロリーを消費する運動を行えば、その度合いに応じて多くの酸素が必要になり、必要とする酸素の量に応じて呼吸数が増加するはずなのに、試しに乗馬マシンに30分間乗ってみても、30分間早足のウォーキングを続けたときの様な呼吸数の増加が見られないからです。心拍数もさほど変化が見られません。

ただし、大手メーカー製の乗馬マシン「ジョーバ」は、元々カロリー消費によって痩せるという事よりもバランス感覚を養い、体幹部を使う事で凝り固まった筋肉を解す事を目的として開発されていますので、それで正常なのです。それは、「ジョーバ」に限って言えば、動きの振幅が大きめで変化に富んでいるため、変則的な動きに対して体が自然にバランスを取ろうとするからです。そしてバランスを取ろうとして体幹部、コアマッスルが使われる事が実際に体感できます。体幹部が使われる事により、実際にその場で消費されるカロリーはわずかでも、体内の循環が良くなり、代謝が上がるなどの効果は十分に期待できると考えられます。

しかし、こうした体幹部を使うためには、動きが比較的大きく、動きの変化が豊富でで変則的である必用があります。この際、動くスピードはあまり重要ではありません。それは、身体の大きな人に早い揺れを与えても、かえって上体が安定してしまい体幹部を使う頻度が減ってしまうからです。動きの大きさや速度は体形に合わせて調整してこそ最大の効果が得られます。

では便乗商品「ロデオボーイ」はどうでしょう。

2008年06月、テレビ朝日の通販番組において、ロディオボーイⅡを毎日1時間使用したら、3週間で6.6kgの減量に成功したと紹介されましたが、実際の減量効果は0.4kg程度であったため、公正取引委員会から優良誤認であると注意を受けた事は周知の通りです。次のPDF資料を参照。

公正取引委員会報道資料:株式会社テレビ朝日に対する警告について(PDF)

人間は通常1kg程度の体重の変化が毎日のように起きていますので、0.4kg程度の増減はこの範囲内であり、とても痩身(ダイエット)効果があるとは認められない数値です。

実際のところはどうなのか乗り比べてみました。「ロデオボーイ」は「ジョーバ」と比べると、スピードの調整こそ可能ですが、動きが単調で振幅も小さいのがわかります。振幅が小さくてはエクササイズ効果は望めませんが、これは仮に運動器具に対して全く知識のない人が購入し、自宅で一人で使っても安全なように考慮してのことと思われます。つまりこれはエクササイズマシンではなく、本来必要とされる機能を削って使いやすくした家電品なのだとわかります。見かけは良く似ていますが、のり比べれてみると、全く異なるモノであることがわかります。

つまり、便乗商品「ロデオボーイ」の誇大広告によって「乗っているだけで痩せる」という強烈なイメージが先行し、公正取引委員会の指摘によって、本来なら違った観点からのエクササイズ効果を期待されていた「ジョーバ」までが、「実は大して効果が無い」と、誤った認識を持たれてしまう結果になってしまったとも言えます。

実は、「ジョーバ」に関しては、正しい指導のもと、他のエクササイズとの組み合わせによって相乗効果を上げようとするスポーツ施設が多数存在します。 ブーム便乗型ではない乗馬マシンというものを、見直してみる必用があります。

実際に「ジョーバ」を導入している施設のインストラクター曰く、『レッスンに入る前にある程度の準備運動をしておくとレッスン自体の効果を高められるのは勿論ですが、レッスン時間を有効に使えるというメリットがあります。 ただ体幹部を解す運動は、初級者が指導無しで行うのは難しい面もあり、ある種のジレンマとなっていました。 しかし、有効な乗馬マシンの活用によって会員さんが一人でも準備を整えられるメリットを見出せています。 「ジョーバ」に関しては体幹部を解す効果はありますね。 また、恒常的に活用すれば発汗体質への変化を促す効果も十分期待できると思います。 直接的なダイエット効果は、そもそも期待するべきものではありませんが、ダイエットプログラムを提供する側としては、この「ジョーバ」には助けられているところがあります。 家庭への導入については使い方の習得と費用対効果が問題ですね。』 とのこと。 「ロデオボーイ」について質問してみると、『似てるかも知れませんが我々に言わせれば全くの別物ですね。』 とバッサリ。 これには同感です。

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