整体とは運動のための準備、痩身目的なら自力整体がおすすめ。
整体術だけで痩せるはずがない。
ダイエット、痩身を目的とした整体が流行っているようです。実は、整体の技術を身体作りのトレーニングやリハビリテーション、ダイエットに取り入れ応用する考え方は昔からあったのですが、それらは本来、ストレッチや筋力トレーニングとの併用が不可欠であり、決して整体単独で実現できるものではありません。
他人が施術する整体はあくまでも一時的なものに過ぎませんが、一時的に骨格を整えてからトレーニングを開始する事で、筋肉の左右のバランスよくトレーニングしたり、骨格が歪んだままでは使われ難い筋肉を使えるようにしたりと、トレーニングやダイエットの効率を上げる事が可能と考えられるからなのです。「整体を受けた直後、歩いて帰宅するのだから、それもトレーニングの一種では?」 と言った方がいらっしゃいました。一理有ります。しかし、それもエクササイズとしてダイエットに効果的な歩き方を行っていればの話しですし、その日その時だけに限った事でしかありません。
整体を否定するかのような文脈で始まりましたが、優れた民間療法である「整体」は肯定されるべきものです。ただ残念ながら日本国内では正式な医療行為として認められておらず、専門書を片手に誰もが明日からでも開業できてしまうため、世の中には色々な「整体」が存在しているということを認識する必要があるのです。
皆さんに馴染みの深い整体と言えば、ベッドに横になり、身体のアチコチを押されたり、捻られたりして、時にはポキポキと鳴らされたりするものだと思います。こうした整体の場合は、外力によって強制的に骨の位置、関節の状態を調整し、体型を変化させようとします。しかしこれは本来なら、骨格の歪みや関節のズレ等が原因で起こる腰痛や、筋肉の極度の緊張等を一時的にでも改善し、日常生活への復帰を助けるのが目的の行為です。そして重要視しなければならないのは、身体の痛みや筋肉の緊張を引き起こしている骨格の歪みや関節のズレといった要因が、実は筋肉のアンバランスが原因となって引き起こされている場合が多いということです。つまり骨格の歪みの原因には筋肉が影響しているのです。
元々の整体には、日常の身体の使い方から生活そのものを見直し、改善し、ストレッチなどを取り入れながら、筋肉の状態を改善していき、歪んでしまった体型を徐々に元の状態に戻していこうという考え方があります。しかし、身体のどこかが痛いままの状態では日々の改善など出来ようもありません。そのために、外力によって一時的に身体を修整することで痛みを軽減し、身体を修整するための言わばスタートラインに立たせてあげる必要があります。一般的に整体所に行って受ける施術の多くが正にそれなのです。つまり、整体所に行き施術を受けても、それは一時的なものなので、その後その状態を維持するための自己努力を続けなければなりません。
例えば、筋肉が無く骨だけの人体を想定すると、姿勢を正すどころか立っていることも出来ません。もちろん人それぞれ、骨格の状態、関節の状態によってその人が楽にしていられる姿勢は異なりますが、良い姿勢、悪い姿勢、骨盤の状態も、筋肉の状態によって殆どが決まってしまうといって過言ではありません。つまり、外圧によって骨格を矯正しても、筋肉が変わっていなければ一日、場合によっては数時間で元に戻ってしまって当たり前なのです。
しかし現状は、一時的な骨格矯正が極端に注目されるあまり、施術を受けさえすれば目的を達成出来るかのような錯覚だけが一人歩きしてしまっています。そのため、本来からある正統派とも言える整体師の方々の中には、あえて「自力整体」や「自主整体」、「自己整体」という言葉を用いて、「整体」のもつ可能性を見直し、あらためて本来の道に戻そうと努力されている方がいらっしゃるくらいです。
整体師は国家資格ではありません。(参照:ウィキペディア/日本の免許一覧)当然ながら、施術する側と受ける側の双方に自己責任が問われる行為ですので、お互いの信頼関係が大変重要になります。権威や知名度を振りかざすのは論外ですが、少なくとも、高圧的な発言や脅し文句で通わせようとする整体所は避けた方が賢明です。
最も重要なのは、整体を受ける側の『自ら変わろうとする意思』であり、それに的確に応えてくれる整体師の存在なのです。