流行の骨盤ベルトの欠点 ~ 骨盤ダイエットが生まれた背景

流行の骨盤ベルトの欠点

まず、骨格は周囲に張り巡らされた筋肉によって支えられていて、骨格だけでは自立できません。そして骨盤もまた骨の集合体なので、筋肉の支えがなければ開いたり歪んでしまうのは当然の成り行きです。では、筋肉はあるはずなのに骨盤が開いたり歪んだりしてしまうのは何故なのでしょう?それは、骨盤を引き締めて保つべき筋肉が緩んでしまっているからで、原因はとてもシンプルなんです。

巷には骨盤ベルトが溢れていて「細くなれる」とうたっていますが、それらを完全に否定する事はできません。なぜなら、極端な例ですが、腰にゴムバンドを巻いておくだけでも、開いた骨盤は閉じていくからです。きつめのジーンズを履いていても骨盤は締まっていきます。但し、締まる事は締まりますが、歪んだまま締まっていくのと、それらを外した時には短時間で元に戻ります。またそれを繰り返す事で筋肉がどんどん緩んでいきますのでおすすめは出来ません。

■某社の骨盤ベルト1980年頃の骨盤ベルト

1980年~ :伸縮・薄型

こちらの骨盤ベルトバンドは、1970年代まで普及していたゴム製のベルトに代わるものとして作らた、腰痛などから身体を保護するためのベルトです。主に整形外科や接骨院などで入手可能だったもので、骨格の歪みによる痛みを和らげるのが主な目的です。また骨格矯正を受けた後、出来る限りその状態を保つためにしばらく着用してもらう事もありました。外部の圧力による骨格矯正は数時間で戻ってしまうからです。また、慢性的な腰痛患者が応急的に使用してもらう目的でも使われています。

当時としては画期的で、三重構造でありながら薄く強靭に作られています。

この骨盤ベルトを使用されても骨盤は締まりますが、そもそもが治療目的に使うものですので安易に常用すると骨盤を歪ませる原因となり、ベルトに対する依存体質を生む危険性があります。

また骨盤が締まる=強力な力が働いていますので、血流やリンパ流を衰えさせ、代謝の低下や冷え性を誘発する危険もあります。

さらに、ベルト依存が高まる=筋力低下により腰痛の温床となる危険も高まります。

この骨盤バンドは、「痛みを一時的に軽減する」「治療や矯正後に出来るだけ長くその状態を保ち、健康回復に努める」というのが、正しい使い方です。整形外科は勿論、整骨院や整体所でも、良識のあるところではこうした危険性をしっかり踏まえた上で、正しい活用方法を指導されています。

「健康体を締め続けて良い事は一つも無い」これが専門家の偽らざる意見です。

改良型・骨盤ベルト
1990年~:薄型

血流促進・ガイアストーン内蔵

こちらは先の骨盤ベルトに、血流やリンパ流の促進効果などの改良を加え、健康を保ちながら長時間使用できるようにしたものです。

血流量を保つ事で、痛みを軽減しつつも冷え性対策がとられ、高く評価されたものです。

しかしそれでも、安易な常用は筋力を弱め、骨盤を歪ませることに違いはありません。

そもそもこれらの骨盤ベルトは「現に腰が痛くて、その痛みを和らげたい人」や、「歪んだ骨格を元に一時的にでも戻したので、その状態をできるだけ長く保っていたい人」に、専門医や専門家の指導の下に使われるものです。

どんなに優れた骨盤ベルトでも、専門知識と良識を持った人であれば、決して安易な使用はすすめません。

そもそも骨盤矯正やそのための骨盤ベルトが普及し始めたのは2000年以降の事で、それ以前はストレッチや骨盤修整エクササイズが主流でした。ヨガやピラティスという選択肢もありました。

骨盤矯正用の骨盤矯正ベルトが世の中に初めて登場したのは1995年のことで、株式会社アイマーク社が開発したスリムロイナーが最初になります。

スリムロイナーの開発経緯をお聞きしてみると、「骨盤を引き締めて、その状態を保つ筋力を養う」のが第一の目的で、「そのためのエクササイズを短縮させる運動器具」である事が第二の目的となっています。また興味深いのは、スリムロイナーの開発当初の被験者は男性であったことで、同社が販売する産後ガードルのお客様に提案したのが、広く女性に受け入れられた要因だったようです。

骨盤を締めて整えておくのに必要な筋肉は、誰もが持っているものです。運動不足などが原因で衰えてしまっているだけなので、それを効率よく回復させれば骨盤は締まっていくものなのです。特に産後はそうした筋肉が緩んでいるので産後のお母さんたちに受け入れられたのでしょう。

当時は「骨盤矯正」という言葉自体が一般的ではなかったので、骨盤の開きや緩み、歪みの問題に直面していた産後のお母さん達の悩みと一致したのだと思います。GESTSでも、フィットネス施設を通じて協力を仰いだ経緯がありますので、『苦しいストレッチをしなくても開いた骨盤を引き締められる』、『産後の腰痛が治った』、『ダイエット効果が上がった』、等という声がたくさん聞かれました。

更に、トピナガードルとの相性が良かった事もあり、産後の骨盤矯正ベルトとして広まったようです。

詰まり、骨盤矯正ベルトとしてのスリムロイナーは、骨盤を引き締めるのに必要なインナーマッスルを整えるところにその目的があるわけで、決して常用はすすめていません。むしろ「使用は1日3分まで」と説明しているくらいです。

皆さんに知って頂きたいのは、「骨盤が締まる」というのは、様々な健康促進の一環として骨盤周囲のインナーマッスルが鍛えられ、筋力が元に戻った時に得られる結果の一つに過ぎないということ。そして、自然に骨盤が締まったという結果が得られれば、ウエストや腰回り、太ももが引き締まり、当然の結果としてサイズダウンは起きるのです。

これが『骨盤矯正』『骨盤矯正ベルト』果ては『骨盤ダイエット』という発想が生まれた背景なのです。

締めるだけでも骨盤は締まります。しかし締めるのを止めればすぐに戻ります。大切なのは、何も身に着けていなくても引き締まった状態を維持できる身体を手に入れる事、誰もが持っていた天然のコルセットを取り戻す事なのです。